良書を過去から未来へ橋渡し 下北の知の案内人

クラリスブックス(東京・下北沢)

retroism〜article28〜

 階段を上がり、店内に入っていくにつれて、特有の香りが強くなっていく。古本の匂いだ。

  「古本には、紙はもちろん、たばこや家の匂いがついています。それらが店に集まって混ざり合っちゃうんでしょう。店にずっといる私たちは、あまり気付きませんけど」 。「クラリスブックス」の店主・高松徳雄さんがほほえむ。決して不快な匂いではない。むしろ本好きには、馥郁(ふくいく)たる香りだ。

面出しに少しこだわる。「昔、先輩が本は少ない方が売れるっ言ってましたが、このことだったんですね」。若者の多い下北沢では、面出し必須だ

 学生時代から本に囲まれて生きてきた高松さんは、大学を卒業して就職せず、フリーターをしながら、新刊本屋の倉庫などで働いた。もともと本が好きだったので、30歳の手前で神保町の古本屋にバイトとして入り、すぐに正社員になった。「そこでの仕事が面白くて、将来的には、自分で古本屋を開きたいと考えるようになりました。昔の履歴書を引っ張り出してみたら、志望動機のところに、将来独立したいと書いてあって、妙に自分で納得しました」

文学、哲学、美術、映画、音楽、サブカル系がメイン。いろいろなジャンルの本の下には昔の「女性自身」など

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