縁側と庭、水影が楽しい下町の銭湯

タカラ湯(東京・北千住)

retroism〜article27〜

 「タカラ湯」には、かつて下町に漂っていた風情が今もなお残っている。如実に表れているのが、男湯の窓外に作られた縁側と庭だ。庭には池が掘られて、大きな錦鯉が悠々と泳いでいる。

奥の壁は一時期、タイル張りのみだったが、銭湯として富士山の絵がないのは、画竜点睛(てんせい)を欠くと思い、銭湯絵師の中島盛夫氏に依頼

 1927(昭和2)年、現主人である3代目松本康一さんの祖父が、荒川土手近くに創業したのが、タカラ湯の始まりだ。その後、まとまった土地が手に入り、現在の場所へと動いたのが、38(同13)年である。「創業90年になります。祖父は残念ながら、ここができてすぐに亡くなって、祖母が女手一つで切り盛りしてたようです。この庭は、こちらに移った当初からありました」と松本さんは語る。

カラン(蛇口)にある宝の文字は、メーカーの名前。偶然、その会社を頼んだだけだ。誰もがどこかで繋がっていると思わせるエピソード 

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