レコードを次世代に イベントではオネエトークも

 音楽も身近だった。横山さんの音楽好きは、おそらくアルゼンチンタンゴやクラシックにはまっていた父親の影響もあると思うが、それだけではない。「小学生の時には、店から居酒屋や喫茶店にレコードを届けたりしてました。そこら中に音楽があったし、あるのが当たり前でした。自分でバンドも組んでたり、生の音楽にもたくさん触れてきましたしね」イベントの参加者は、値段を抑えたビール片手に、好きなレコードを選んで聴きながら、「ここがいいあそこもいい」と言い合って盛り上がる

 そんな横山さんが、レコードの魅力を語る。「まず一番いいと思うのは、音楽に対して正面を向くという、その行為です。CDとかスマホでパッと聴けるのはそれはそれでいいけれど、レコードは、さあ聴くぞって感じですよね」。 少年のような表情の横山さんは続けた。「それに音がいい。レコードは、今のデジタルの音楽のように修正が効きません。その時代のミュージシャンは、うまくて当たり前の天才なんですよ。だから録音の良し悪しとか、盤のプレスによって音がいい悪いはあるけど、演奏自体にハズレがないんです」お薦めを選んでもらったら、横山さんは、マイルス・デービスとハービー・ハンコックをピックアップした。「若い子にも人気がありますよ」

 映画のようだとも横山さんは言う。「ディレクターやカメラマン、デザイナーがいてジャケットが出来上がる。いろんな人の力が集まって一枚のアルバムが作られます。トータルアートとして完成されていると思うんです。30センチというサイズ感もいいですよね。結局、僕はレコードが好きなんです」。横山さんはそう言って照れたように微笑(ほほえ)んだ。

蝋管(ろうかん)は、トーマス・エジソンが発明したレコードの原型だ

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