昭和な釣り堀は変わらないのが魅力 

 さすがに、このところの猛暑や寒さに対応するために、エアコンなしではちょっと厳しい。「夏も扇風機だけでやってたんですが、汗をだらだら流しながらご飯食べてるお客さんの姿を見ると、申し訳ないなーと思ってね。冷房を入れたら、お客さんも喜んでくれました。でも、基本的には、昔ながらの形を残していきたいし、残していくつもりです」。どんなことでもそうだが、変えずに残すのは容易なことではない。ただ、頑張って残したことで、楽しみがあるのも事実。一番うれしいのは、昔、釣りをしにきていた子供たちが、大人になって会いにきてくれることだと青木さんは言う。

食事処そのものも手作り。数年前に空調が入って四季を通して快適に過ごせるようになった。食事だけをしにくる客も少なくない

 「久しぶりこっちに帰ってきたから寄ったよ、なんて言いながら、顔を出してくれる人も多いんですよ。あと、元横綱の若乃花、貴乃花も子供の頃よく遊びにきてました。今でも年に何回かは顔を出します。『あー、やっぱりいいねー。昔の感じが変わってなくていいね』って言ってくれますよ」

入り口には、飲み物やたばこ、ガチャガチャや忍者姿の大きなポップコーンの自販機などが並ぶ。たばこの自販機にはゴールデンバットも  
 緑多い公園の中にあって、時折気持ちのいい風が頬をなでていく。池の向こうに見えるサワサワッと揺れる木々の葉っぱを眺めながら、青木さんは言った。
「立地的には、自然の中にある最高の場所です。誰もが心安らげる場所であり続けられたらいいなと思っています。いつまでもね」と、青木さんは涼しい顔で最後にそう言った。

  都会のオアシスは釣り人たちの心を癒やし続けている。

つりぼり むさしのえん
東京都杉並区大宮2-22-3 和田堀公園
📞03・3312・2723
営業時間:午前9時~午後5時
定休日:火
文・今村博幸 撮影・伊藤千晴

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